経営者が検討すべき設備投資と支援策
経営者が検討すべき設備投資と支援策
~ものづくり補助金と経営力向上計画について~
解説:日本経営ウイル税理士法人
トータルソリューション事業部 MAS監査チーム
「ものづくり補助金」の17次締切分の公募要領
10月に発表された日銀短観において、2023年度の設備投資計画は前年度比13.0%増加となりました。前回調査(2023年6月)における11.8%を超えて上方修正されています。また前年度の9.2%を3.8ポイント上回りました。大企業では13.6%、中堅企業では15.9%増加の計画となり、中小企業における設備投資も前年度比8.0%増加となっています。
中小企業については、設備不足感が強いといわれる非製造業において、投資予定が14.8%の増加へと急増しています。傾向としては、大企業・中堅企業・中小企業において、ソフトウェア投資は増加しており、土地投資は減少傾向となっています。
12月27日に「ものづくり補助金」の17次締切分の公募要領が公表されました。この機会に、攻めの投資を検討してみてはいかがでしょうか。
今、中小企業が検討したいものづくり補助金と経営力向上計画
同業他社に遅れることなく、自社において必要な投資を検討することが求められます。いずれの制度も原則としては設備投資をする前に申請等が必要となりますので、まずはご相談ください。
1.新製品開発、生産性向上のための投資「ものづくり補助金」 | ・新製品の開発や生産性向上などの投資に使える補助金 ・自社の業務フローを見える化できる生産管理システムの導入や、生産性の優れた機械装置の導入なども対象 |
2.補助金と併用できる税制優遇「経営力向上計画」 | ・競争力向上のための設備投資について経営力向上計画の承認を受けると、さまざまな税制優遇措置を受けることができます。 ・税額控除または特別償却については補助金との併用が原則として可能であるため、設備投資前に承認をとることを検討しましょう |
ものづくり補助金(第17次締切)
12月27日に、ものづくり補助金の第17次締切の公募要領が公表されました。17次締切では、「省力化(オーダーメイド)枠」のみが対象となります。
※18次締切は省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠を公募予定。
※17次締切の公募に応募する事業者は、18次締切の公募には応募できません。
※12月28日時点では18次締切の情報は公開されていません。
期間
- 公募開始 :2023年12月27日(水)17:00~
- 電子申請受付:2024年 2月13日(火)17:00~
- 申請締切 :2024年 3月 1日(金)17:00まで【厳守】
※補助事業実施期間内(最遅で2024年12月10日まで)に、発注・納入・検収・支払等の全ての事業の手続きを完了し、実績報告書を提出すること
※次回公募(18次締切分)においても、補助事業実施の期限は最遅で2024年12月10日まで。
対象経費
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等。
※デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。
デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象とはなりません。
補助金額
従業員数5人以下 :100万円~750万円
6~20人 :100万円~1,500万円
21~50人 :100万円~3,000万円
51~99人 :100万円~5,000万円
100人以上:100万円~8,000万円
補助率
補助金額1500万円まで | 1500万円を超える部分 | |
中小企業 | 1/2 | 1/3 |
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者 | 2/3 | 1/3 |
基本要件・追加要件
基本要件 | ・事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加。 ・事業計画期間において、事業場内最低賃を、毎年、地域別最低賃金+30円以上 ・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加 |
追加要件 (基本要件に加えて以下の全てを達成が必要) | ・事業計画期間内に、設備投資前と比較して労働生産性が 2倍以上となる事業計画を策定すること ・事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること ・外部SIerを活用する場合、事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること ・本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書を提出すること |
※詳しくは、ものづくり補助金の公募要領をご確認ください
経営力向上計画
補助金と併用できる税制優遇がある 「経営力向上計画」。補助金加点や税制支援が受けられます。
補助金加点 | 小規模事業者持続化補助金の申請時における加点措置 |
税制支援 | 設備投資についての即時償却または取得価額の10%の税額控除が可能 |
金融支援 | 政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援を受けることができます。 |
法的支援 | 業法上の許認可の承継の特例、組合の発起人数に関する特例、事業譲渡の際の免責的債務引受に関する特例措置を受けることができます。 |
※各支援措置について、詳しくは「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」をご覧下さい。
当事務所のような認定経営革新等支援機関では、計画策定のご支援ができます。
ものづくり補助金と経営力向上計画は、合わせて提出することで、より投資の効果を高める事が出来ます。
設備投資をご検討中の事業者様がいらっしゃいましたら、一度ご相談ください。
企業経営の改善・税務顧問は、日本経営ウィル税理士法人
日本経営ウイル税理士法人
トータルソリューション事業部 MAS監査チーム
本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。
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